■ 国際ロマンス詐欺師のマネーロンダリング手法と仮想通貨の追跡の難しさ

本記事は、国際ロマンス詐欺師のマネーロンダリング手法と仮想通貨の追跡の難しさについてご説明します。

マネーロンダリングは犯罪者が不法に得たお金を合法的な資金として偽装する手法であり、捜査機関からお金の流れを隠蔽するために利用されます。

国際ロマンス詐欺師のマネーロンダリング手法

国際ロマンス詐欺師を含むサイバー犯罪者は一般的に次のような手法でマネーロンダリングをします。

  1. 他人の口座で偽装する
    サイバー犯罪者は盗んだお金を自分の口座に直接送金するのではなく、他の個人や合法的な組織が所有する口座(マネーミュール)に送金します。これにより、お金の流れを隠蔽します。

  2. 取引を繰り返し撹乱
    盗んだ資金を洗浄するために、犯罪者たちは何度も取引を行います。これにより、資金の出どころや本来の所有者を隠すことを狙っています。

  3. 合法と違法な資金を混ぜる
    洗浄された資金を合法的または違法な事業に投資することで、お金の出所を追跡することが難しくなります。なぜなら、洗浄された資金が既存のビジネスや活動に混ぜられることで、元の犯罪行為から得たお金と混同されるためです。そして、これらの合法的なビジネスや活動を介してお金がさまざまな取引を経て動き、結果的に犯罪の足跡を隠蔽することができるからです。他の例としては、高価な宝石や金属の購入、カジノでのチップ売買なども行われることがあります。

  4. 仮想通貨を利用する
    近年では、仮想通貨(暗号資産)を使ったマネーロンダリングが増えています。仮想通貨の匿名性を利用し、取引の追跡を困難にします。

これらの手法を駆使して、国際ロマンス詐欺師を含むサイバー犯罪者は盗んだ資金を洗浄し、自らの利益に繋げています。

マネーロンダリングは複雑なプロセスであり、犯罪者たちは巧妙に手口を工夫しています。

仮想通貨の追跡の難しさ

国際ロマンス詐欺師が仮想通貨を使って詐欺をした場合には、仮想通貨を利用すること自体がマネーロンダリングの成功に繋がっているため、追跡が非常に困難になります

国際ロマンス詐欺師が仮想通貨を使う場合、詐欺師はウォレットアドレスの偽装も必要ありません。 なぜなら、取引の参加者の個人情報が匿名で公に開示されないためです。

仮想通貨がマネーロンダリングの成功に繋がる要因として、以下のような点が考えられます。

  1. 取引の追跡が事実上不可能
    仮想通貨の取引は個人情報が隠蔽されているため、通常の銀行取引よりも追跡が困難です。これにより、資金の出どころや流れを追いにくくし、マネーロンダリングのプロセスを隠蔽することが容易になります。

  2. 世界規模の送金が容易
    仮想通貨はインターネットを介して瞬時に世界中に送金することができます。国境を越えた送金が容易なため、国際的なマネーロンダリングにも利用されます。

  3. 仮想通貨の両替
    マネーロンダリングの一環として、仮想通貨を他の通貨に両替することで、資金の出所を隠蔽することができます。両替はオンライン取引所などを介して行われることが多く、身元情報を開示せずに取引が可能です。

仮想通貨の取引はブロックチェーンと呼ばれる公開台帳に記録されますが、取引参加者の個人情報や身元は直接的には示されません。そのため、個人を特定するのは困難です。

ただし、完全な匿名性は保たれているわけではありません。近年、仮想通貨の取引所や関連サービスには、しばしばKYC(顧客の確認)やAML(マネーロンダリング対策)の規制が課せられており、取引参加者は身元を確認するために個人情報を提供する必要があります

さらに、ブロックチェーン上の取引データは永久に保存されるため、専門家や法執行機関はトランザクションのパターンや特定のアドレスを追跡することで、一部の取引参加者を特定できることもあります

したがって、仮想通貨を使った取引が完全に匿名性を保っているかどうかは状況によります。

規制や追跡技術の進化により、完全な匿名性は難しくなる可能性がありますが、一部の手法を使って身元を隠すことは依然として可能であると言えるため、新たな対策が求められています。

参考文献:

作成 2023-07-31


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